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2026.9.2

【ナカダリオ×慶應SFC】19歳の挑戦、ヴェネチアへ Student#2

慶應SFCの19歳のXRクリエイター・ナカダリオさんによるXR映画『Nox』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」に公式選出。作品への思いと、日本のXR・若手クリエイター支援の課題を紹介します。

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本記事では、19歳のXRクリエイター・ナカダリオさんが手がけるXR映画『Nox』と、その挑戦を取り上げます。『Nox』は、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」のコンペティション部門に公式選出され、世界最高峰の舞台へ進むことになりました。

高校時代から個人でXR作品の制作を始め、大手企業や海外の国家プロジェクトが並ぶ舞台に挑むナカダリオさん。作品をつくる過程やヴェネチアへの挑戦、その中で見えてきた日本のXRを取り巻く環境について、19歳のクリエイター本人の視点から語ってもらいました。


映画でも、ゲームでもない。XR映画『Nox』


私は現在、XR映画「Nox」を制作しています。 『Nox』は、VRヘッドセットを装着し、映像をただ「観る」のではなく、自分自身がその世界の中に入り込んで体験する作品です。映画、ゲーム、アートの境界にあるような表現で、XRだからこそできる新しい物語体験を目指して制作してきました。 

 
そして今回、この『Nox』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」のコンペティション部門に公式選出されました。


19歳の個人制作が、世界最高峰の舞台へ

大手資本と国家プロジェクトがひしめく世界最高峰に、19歳が挑む 「なぜ、これほどの快挙なのに資金がないのか」と思われるかもしれません。 『Nox』のようなXR作品は、ゲームでもない、いわゆる映画でもない。まだ既存の産業構造の「隙間」に落ちている領域だからです。 今回のVenice Immersiveでも、他国は数千万円〜数億円規模の国費や莫大なコストを投じて参戦しています。 また、過去に日本から選出された作品の多くも、WOWOW、バンダイナムコ、SONY、講談社といった大手企業の資本のもとで制作されてきました。 その中に、当時高校生だった私が個人で制作を始めたXR作品が並ぶこと自体、非常に大きな出来事だと感じています。


国の支援で『Nox』は生まれた

今回の『Nox』は、経済産業省のコンテンツ制作支援事業「創風」に採択されたことで産声を上げることができました。 若手クリエイターの「制作」を支えてくださった国の制度には、心から感謝しています。しかし課題は、「作ったその先」にもありました。


「作る」支援はあっても、「世界へ届ける」支援が足りない

海外では制作費だけでなく、国際映画祭への展開・渡航・現地プロモーションまで国が一体となってバックアップする体制が整っています。 一方、個人制作者が利用でき、国際映画祭への渡航・展示・現地プロモーションまでを一体的に支える国内の公的制度は、まだ十分とはいえません。 大企業が関わる作品であれば「事業予算」としてカバーできますが、個人制作の場合、自費での対応となってしまいます。 高騰する現地の滞在費、展示用機材の輸送費、現地で他国の国際映画祭や美術館関係者と交渉するための体制費用など、莫大な費用が必要となります。当然ながら、19歳の学生にそれをまかなえる貯金などありません。現実には、家族にも大きな負担をかけながら支えてもらってる状態です。今年は大学進学費用もかかっており、一家庭の力だけで世界最高峰の映画祭への渡航・出展費用をカバーするには、どうしても限界があります。


XRは、日本が世界で勝負できる領域かもしれない

XRは、次世代の巨大成長産業 今回のヴェネチア国際映画祭において、長編メインコンペティション部門への日本映画の公式選出は、実に3年ぶりとなりました。 一方で、XR作品を扱う「Venice Immersive」のコンペティションには、日本の作品が毎年公式選出され続けており、日本コンテンツが世界最高峰の舞台で高く評価されている最前線の一つでもあります。 XRは、AIや自動運転と並ぶ次世代の巨大成長産業です。 AIや自動運転など、日本が世界の主導権を握れているとは言いにくい分野がある中で、XRは日本がまだ世界で勝負できる可能性のある領域なのではないかと、私は考えています。 日本には、アニメ、漫画、ゲーム、映画など、世界に評価されてきたコンテンツがあります。 そこにXRという新しい技術が加われば、日本ならではの強みを生かせる余地は、まだ大きく残されていると思います。 世界のXR市場は2030年に向けて大きな拡大が見込まれており、海外では国や巨大資本が「未来の産業」として大きな投資を続けています。 だからこそ、海外の作品は数億円規模の国家予算や企業の事業予算を投じて、世界最高峰の舞台「ヴェネチア」に乗り込んできます。


世界に認められても、「最後の壁」がある

一方で、現在の国内の公的支援は「制作」が中心であり、渡航や現地展示といった「海外展開のフェーズ」をカバーする枠組みは非常に限られています。 国の支援で生まれ、世界に認められた作品が、「一家庭の資金の限界」という最後の壁で立ち止まってしまう。 今回、自分自身がその当事者になったことで、この問題を強く実感しました。


『Nox』を、ヴェネチアのその先へ

大資本や海外の国家プロジェクトと同じ舞台で戦い、日本のXRの可能性を世界に示すために、今回クラウドファンディングに挑戦します。今回クラウドファンディングに挑戦します。 もし『Nox』や今回の挑戦に興味を持っていただけたら、ぜひ応援していただけると嬉しいです。


『Nox』ヴェネチア国際映画祭出展支援クラウドファンディング

『Nox』ヴェネチア国際映画祭出展支援クラウドファンディング 2026年8月18日開始

CAMPFIRE|日本国内の方はこちら https://camp-fire.jp/projects/971537/view

Kickstarter|海外在住の方はこちら https://www.kickstarter.com/projects/1702189120/nox-at-venice-and-beyond


写真提供:ナカダリオ

撮影:伊島薫